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(年月日未詳)
甲佐社廻廊諸式<かいろうしょしき>注文 刊本252号
甲佐社四脚門<しきゃくもん>の両脇東西に接続する廻廊の用材を見積もった文書である。延元三年の甲佐社殿焼失による正平七年以降の造営事業の一部かとみられるが、具体的年代は明らかでない。阿蘇文書には料木注文などの造営関係史料が多く存在するが、それらをもとにして、目的とする建造物を復元できる史料は、現在のところこの文書以外には存在しない。
この文書は後欠とされているが、廻廊として、十八種の用材を用い、一間を六尺五寸とする八間×二問の切妻造・板敷床を持つ建築が門の東西に各一棟接続して建てられたと理解できる。ただし、一般に廻廊とは外塀の役割を持つ庇屋根・内土間の通路とイメージされているが、二間幅・板床のこの廻廊は通路というより、恒例神事に列席する社家一同のために用意される場と理解した方が妥当であろう。(阿蘇品)