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元弘三年(1333)八月六日
後醍醐天皇綸旨 刊本75号
後醍醐天皇が、阿蘇大宮司惟直に対して、「任先度 綸旨」せて方々の妨害を排除し、阿蘇郡の支配を貫徹することを認めた綸旨。月日のみを記す一般の形式である。「者<てへれば>」の後は、平出式<へいしゅつしき>という天皇の意向に敬意を表して行がえがなされている。奉者の岡崎範国は恩賞方四番局の構成員で、のちに雑訴決断所<ざっそけつだんしょ>の所員になった。「先度 綸旨」とは、原本・写ともに伝来しないが、正平二十四年十一月の「阿蘇惟武申状写」(写第33)にみえる「去元弘三年四月二日、自伯州船上被下 綸旨」をさすのであろう。この惟武申状<もうしじょう>には本文書の記述もある。この年六月十五日には所領の領有確認は綸旨によって行うとする、いわゆる個別安堵法がだされたが、阿蘇氏に対しては個別安堵法より前に綸旨が下され、本綸旨によって約諾の内容を確認したといえよう。(柳田)